準委任契約と請負契約の違いとは?フリーランスが知っておくべき契約の基本
2026年、契約内容の理解がエンジニアを守る
フリーランスとして案件を受注する際、最も重要なのが「契約書の内容」です。 特に2026年は、アジャイル開発の普及、生成AIの活用、インボイス制度の定着など、 契約の境界が曖昧になりやすい環境 が整っています。
- どこまでがエンジニアの責任なのか
- どこからがクライアントの責任なのか
- AI生成物の扱いはどうなるのか
- 修正対応はどこまで義務なのか
これらを曖昧にしたまま契約すると、 想定外の修正対応やトラブルに発展するケースが増えています。
本記事では、フリーランスが押さえておくべき 「準委任契約」と「請負契約」の違い を体系的に整理し、 契約書で確認すべきポイントを2026年版として詳しく解説します。
1. 請負契約(成果物責任型):完成が報酬の前提となる契約
請負契約は、法律上「仕事の完成」に対して報酬が支払われる契約です。 つまり、成果物が完成し、検収に合格して初めて報酬が発生 します。
1-1. 請負契約の特徴
請負契約の本質は「完成責任」です。
- 完成・検収が報酬発生の条件
- 作業時間ではなく成果物が基準
- 仕様通りに完成しているかが重要
- 完成しなければ報酬が発生しない
- 修正義務が発生する可能性がある
短期間で成果物を仕上げられれば効率的に報酬を得られますが、 完成しなければ報酬ゼロ というリスクもあります。
特に2026年は、AI生成物を活用した高速開発が一般化しているため、 「短納期での請負案件」が増えています。 しかし、スピード重視の開発は品質リスクを伴うため、 契約内容の理解がより重要になっています。
1-2. AI活用時の注意点
AIが生成したコードを利用する場合でも、 最終的な品質や適法性を確認する責任はエンジニア側に残る ケースがあります。
注意すべきポイント:
- AI生成コードの脆弱性
- ライセンスの扱い(OSSライセンス違反のリスク)
- 著作権の帰属
- セキュリティ要件の未達
- テスト不足による不具合
請負契約では、成果物の品質に対して責任を負うため、 AIを使ったとしても「品質保証の義務」が消えるわけではありません。
1-3. 契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)
請負契約では、成果物に不具合があった場合、 契約不適合責任 が発生します。
求められる対応:
- 修正対応(追完)
- 損害賠償
- 契約解除
特に2026年は、AI生成物の品質問題が増えているため、 契約書に「AI利用時の責任範囲」を明記する企業が増えています。
2. 準委任契約(業務遂行型):業務を適切に遂行する契約
準委任契約は、「業務を適切に遂行すること」に対して報酬が支払われる契約です。 成果物の完成義務はありません。
2-1. 善管注意義務とは
準委任契約では、 善良な管理者としての注意義務(善管注意義務) が求められます。
つまり、プロとして通常求められる注意を払って業務を行う義務です。
2026年の基準では、以下も含まれるケースがあります。
- セキュリティ対策
- AIツールの適切な利用
- 個人情報の取り扱い
- バージョン管理の適切な運用
- コードレビューの実施
成果物の完成義務はありませんが、 「適切に業務を遂行したか」が評価されます。
2-2. 準委任契約の2つのタイプ
民法改正により、準委任契約は以下の2種類に分かれます。
履行割合型(タイムチャージ型)
- 作業時間に応じて報酬が発生
- アジャイル開発や保守運用で一般的
- 成果物の完成義務はない
成果報酬型(準委任の成果型)
- レポート提出
- スプリント完了
- 調査結果の提出
など、一定の成果に応じて報酬が発生します。
請負契約に似ていますが、 成果物の完成義務までは負わない 点が大きな違いです。
3. 【比較表】準委任(成果型含む)と請負の違い
| 比較項目 | 請負契約 | 準委任契約(成果報酬型) | 準委任契約(履行割合型) |
|---|---|---|---|
| 目的 | 仕事の完成 | 成果の提出 | 業務の遂行 |
| 報酬条件 | 完成・検収後 | 成果提出時 | 期間・時間の経過 |
| 修正義務 | あり(契約不適合責任) | 善管注意義務の範囲内 | 善管注意義務の範囲内 |
| 主な用途 | 小規模開発・成果物納品 | アジャイル開発・DX支援 | 保守運用・PMO |
| リスク | 完成しないと報酬ゼロ | 中程度 | 低い |
| AI活用時の注意 | 品質保証が必要 | 検証範囲の明確化 | 業務遂行の適正性 |
4. 契約書で確認すべき3つのポイント(2026年版)
契約書を読む際、特に重要なのが以下の3点です。
① 責任範囲と損害賠償の上限
例:
「損害賠償額は、直接かつ現実に生じた通常損害に限り、本契約に基づく報酬額を上限とする。」
責任範囲が明確でないと、 想定外のリスクを負う可能性があります。
特に請負契約では、 損害賠償の上限が曖昧なまま契約すると危険です。
② 検収期間の明確化
例:
「納入後◯日以内に指摘がない場合、検収に合格したものとみなす。」
検収が曖昧だと、 支払いが遅れる原因になります。
請負契約では、 検収=報酬発生の条件 であるため、特に重要です。
③ AI利用に関する取り決め
2026年の契約では、AI関連の条項が増えています。
確認すべき内容:
- AI生成物の扱い
- 著作権の帰属
- 検証範囲
- セキュリティ要件
- ライセンスリスクの扱い
AIを使ったからといって、 責任が軽くなるわけではありません。
5. エンベストが提供する契約サポート
エンベストでは、フリーランスが安心して業務に集中できるよう、 契約に関するサポートを行っています。
契約内容の事前チェック
不利な条項がないかを確認し、 必要に応じて調整を提案します。
実態に即した契約形態のアドバイス
アジャイル開発などで誤解されやすい 「指揮命令」の線引きを整理し、 適切な契約形態を選べるよう支援します。
結論:契約の理解はフリーランスのリスク管理そのもの
契約形態の違いを理解することは、 技術スキルと同じくらい重要な自己防衛手段です。
契約内容を正しく把握し、責任範囲を明確にすることで、 安心して業務に取り組むことができます。